炭酸ガス=蒸らしの山

コーヒー豆は焙煎によって水分を失う代わりに、炭酸ガス(Co2)を豆内部に溜め込みます。豆のままなら表面からゆっくりと放出されて、焙煎から約1~2週間程で無くなるようです。この炭酸ガスのためにコーヒーのパッケージにはガスを放出するための工夫が必要となりました。その多くはパッケージ内部の炭酸ガスを放出して、外部の空気は取り込まないという逆止弁か、それと同じ機能をもつアロマプレスシールです。一昔前にはシンプルに小さな穴の開いたパッケージもありました。つまりコーヒー豆を商品として流通させる場合、炭酸ガスは必要ないという考えです。一方、コーヒーをドリッパーで淹れる時にお湯を注いでできるドーム状の粉、いわゆる「蒸らしの山」を楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。あの山を大きくしているのはまさに炭酸ガスです。コーヒー豆を購入されたお客様の中に「蒸らしの山」ができなかったといって、コーヒーが古いのではと思われた方がいました。しかし炭酸ガスが無くなる理由は時間経過だけではありません。焙煎度が浅いものはそもそも炭酸ガスの発生量が少ないために、焙煎直後でも「蒸らしの山」が大きく膨らむことはありません。直火と熱風といった焙煎方法でも差が出るようです。反対に深煎りの豆は炭酸ガスの発生量が多く、焙煎から時間が経過していても大きな「蒸らしの山」ができます。いずれにしても「蒸らしの山」を守ろうとするならば、炭酸ガスを逃がすようなパッケージは矛盾します。ちなみにドリップ以外の抽出法ではどうでしょうか。エスプレッソを含めサイフォンやフレンチプレスでは粉とお湯がしっかり馴染むことが大事で、膨らむ粉を押さえる傾向にあります。つまり膨らむ炭酸ガスは必要ないという考え方です。そもそも炭酸ガス(CO2)は無味無臭です。そのもの自体がコーヒーの味や香りを左右しているわけではありません。あの「蒸らしの山」の中では炭酸ガスが粉とお湯の出会いを邪魔しているとしたら……。どうやら矛盾はないようです。